いつもは物静かな空間が、今日は違って見えた。
どこから声が聞こえるのかと目をやると、視線の先には椅子に腰掛けた老父に対して本を読み聞かせている館員の姿が。老父の側には、そっと手をとり同じく本に耳傾ける老母。
耳を本に近づけ視線は全く別の場所に。
しばらくすると老父母はその本と共に貸し出しカウンターへ向かった。
深々と頭を下げ、何度もお礼の言葉を。
左右にカタカタと鳴り響く杖の音と共に、その後ろ姿はどこか温かく感じた。
心配そうに見送る館員の姿はどこか、物足りなさも感じさせる様相だった。
しゃべる本があれば・・・。
もしかすると彼女もそんな気持ちがあったのかもしれない。
それに代わる何かを感じていたのかもしれない。
でも、あなたの姿、とても素敵でした。

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